シャンシャン中国輸送大作戦の舞台裏

シャンシャンが中国へ渡って2カ月が経ちました。

上野動物園から中国へパンダを送り届けたのは、ユウユウ(悠悠)が北京動物園に行った1992年11月以来、約30年ぶりです。
中国までシャンシャンに同行した上野動物園の職員二人のうちの一人、冨田恭正副園長兼飼育展示課長の話を中心に紹介された記事をご紹介します。

目隠しのボードは取り付けなかった

2月21日、シャンシャンは、午前6時13分に起きて、午前7時10分ごろにトラックで上野動物園を出発し、成田空港へ向かいました。
上野動物園から中国へ行く冨田副園長と飼育係の齋藤圭史さんは、電車で成田空港へ。
成田空港に着いた二人は、一般の搭乗者が利用する空港内を走るリムジンバスに乗りました。
二人が上野動物園でシャンシャンと別れてから再会したのは、飛行機に乗ってからだそうです。

阪急阪神エクスプレスによると、搭乗時にシャンシャンがケージのすき間から外を見て、興奮しないようにするため、シャンシャンが入ったケージ(輸送用の檻)にボードを取り付ける可能性があったそうですが、上野動物園の職員(中国へ行く二人とは別)が立ち会っったところ、シャンシャンが興奮する気配がなかったので、ボードは取り付けなかったそうです。

シャンシャンは、出国手続き中にパンダ団子、リンゴ、タケノコをよく食べ、落ち着いていたそう。
どれもシャンシャンの好物ですが、タケノコはこの時期に日本で採るのが難しいので、中国産を用意してあげたんだとか。

機内の温度は8~10℃程度に

飛行機は定刻の12時45分に成田空港を飛び立ちました。
機内では、コックピットの後ろに冨田副園長と齋藤さんが着席。
その後ろのメインデッキとはパーテーションで区切られていました。
コックピットから15~18mほど後ろの機体の中央付近に、ケージに入ったシャンシャンが積まれました。

ケージは、渡航のためにシャンシャンの大きさに合わせて作られました。
高さ1,366mm(キャスター込み)、幅1106mm、長さ1680mmで、重さは約365kg。

移動中の温度はトラック内、機内いずれも8~10℃程度として、冷気がシャンシャンに直接当たり続けることがないようにされたそうです。

飛行機が離陸して安定飛行に入ると、メインデッキに入る許可が下りたので、冨田副園長と齋藤さんは何度かシャンシャンの様子を見に行ったそうです。
シャンシャンは、齋藤さんがいると落ち着くようです。
(齋藤さんは、シャンシャンが生まれた時からずっと飼育しています。)

冨田副園長は飛行機に乗ってからも緊張していたそうです。シャンシャンが機内でずっと暴れたらどうしようかと。
でもおだやかな性格のシャンシャンはそんなことはなく、寝てくれたそうです。

シャンシャンは怒った?

飛行機は午後5時15分(日本時間で午後6時15分)に四川省の成都双流国際空港に着陸しました。
シャンシャンが先に降ろされ、保税蔵置場で中国ジャイアントパンダ保護研究センター(CCRCGP)側に引き渡されました。

空港には中国の報道関係者が待ち構えていたそうですが、このとき撮影された1本の動画が日本で話題になりましたね。
ケージ内のシャンシャンが鳴いていました。吠えているようでした。
SNSに投稿した中国の人が日本語で「シャンシャン すごく怒ってる」と書かれていました。

このシーン見たよ。
シャンシャンをずっと見てきた人は「シャンシャン怖がってる」って思って見てたと思うな。
かわいそうで涙が出たよ。

シャンシャンをのせたトラックが空港を出たのは午後6時50分。
冨田副園長と齋藤さんは一般の出口から出て、中国側の職員が用意した車に乗り、高速道路のサービスエリアでシャンシャンをのせたトラックと合流したそうです。

トラックは山を登り、午後9時54分に雅安基地に到着しました。
シャンシャンはトラックから出されるとき、起き上がって、冨田副園長と齋藤さんを見ていたそうです。

シャンシャンは、おニ人の姿を見て安心したのかも。

二人がシャンシャンを最後に見たのは、基地内の検疫施設に入る手前。
シャンシャンに声はかけなかったそうです。

シャンシャンは、3月22日に検疫を終えましたが、4月10日、微博(Weibo)の公式アカウントで「シャンシャンは比較的、人見知りするので、飼育員以外のスタッフは特に必要がない限り、シャンシャンのエリアに入らないようにしています。」と発信。

その後の様子はわかりません。
シャンシャン、元気にしてるかな?

※写真と記事は、4/29のCREA WEBより引用させていただきました。