「シャンシャン」検疫のようす(3)

上野動物園公式サイトで、シャンシャンの検疫の様子の続編が公開されたよ。
今回は最終回です。

2023年2月21日、ついに旅立ちの日がやってきました。
その日は早朝からたくさんの職員がせわしなく動いていたそうですが、なるべくシャンシャンにいつもと違うことを悟られないよう、検疫時と同じように飼育係2名で輸送箱への収容に臨んだのだとか。

タケノコを食べるシャンシャン
朝6時、何度か声をかけるとシャンシャンが起きました。
いつもより早い時間だからか少々眠そうでしたが、それでもきちんと部屋を移動してきました。

出発時刻は決まっていたので、できる限りスムーズに輸送箱の中へ誘導することを考えたようですが、繊細なシャンシャンのことを考えると、輸送中や到着後に食べ物が喉を通らないかもしれないので、出発前に少しでも好きなものを食べさせてあげようとタケノコを与えたそうです。
そのタケノコは中国産だったとか。

輸送箱を開けてもしばらく食べ続けていました
調子に乗ってタケノコを多く与えすぎてしまい、思ったより食べるのに時間がかかってしまいましたが、その後、輸送箱には問題なく入りました。

たくさん食べさせてあげたいよね。

パンダ型のパンダ団子を食べるシャンシャン
扉を閉めて簡単なトレーニングをおこない、この日のために用意したパンダ型のパンダ団子(父親の「リーリー」似)を与えました。そろそろ出発の時間です。

りーちゃん似のパンダ団子なんだね。
それ、いい感じ。

上野動物園を出発したトラック。沿道にはたくさんの見送りの方たちがいました。
輸送中にいつでも食べられるように、シャンシャンが好みそうなタケを輸送箱の中に差し込みました。

このあたりからいつもと違う空気を察したようで、目を泳がせ、警戒心を露わにし始めました。
輸送箱に目隠し扉をはめ込み、南京錠をしっかりとかけてから、外で待機していた職員たちに収容が完了したことを連絡しました。その後は飼育係数人がかりで輸送箱をパンダ舎から運び出し、フォークリフトでトラックに積み込みました。

シャンシャンはときどき大きな声で吠えていましたが、激しく暴れたりはしなかったため、ケガなどは見られませんでした。
一連の作業を無事に終え、7時14分、とうとうシャンシャンを乗せたトラックが上野動物園を出発しました。

頭がいいシャンシャンは、いつもと違うこと気が付いちゃうよ。
これから何が起こるのかわからないもの。怖いよね。

園を出たあとは、飼育係を含む飼育展示課の職員3名がトラックについて成田空港へ向かい、出国手続きのあいだに健康状態のチェックと給餌をおこないました。

トラックの荷台で対面したシャンシャンは緊張しており、知らない人が近づくたびに怒って吠えていました。
しかし、飼育係が声をかけながら近づくと吠えることはなく、明らかにこちらのことがわかっているようでした。

そこで、タケノコやリンゴ、パンダ団子(母親の「シンシン」似も用意しました)を与えたところ、最初は前足で食べ物を弾いて転がしていましたが、しばらくすると静かに食べ始めました。

飼育係さんの声に安心したね。
ここで与えたパンダ団子はシンちゃん似だったんだって。
それ、いい感じ。

輸送箱の中で休むシャンシャン
正直この状況で食べるとは思っておらず、すごく驚いたのですが、それだけではなく、目を閉じて何度も休息をとろうとするようすが見られたのです。 当初の予定では、給餌を終えたらその場を離れてそっとしておこうと考えていました。 しかし、シャンシャンは私たちが傍にいることを受け入れていました。 緊張の連続で疲れていたのもあったと思いますが、これまでいっしょにすごしてきたことが無駄ではなかったような気がして、思わず目頭が熱くなりました。

緊張した状況でも、飼育員さんがそばにいてくれたから、
シャンシャンは安心したんだよ。
飼育員さんとシャンシャンは、ずっと一緒に過ごしてきたもんね。

こういうところも好きなんだよ。
シャンシャンの性格好き!

シャンシャンとの最後の対面
貨物機への搭載を見守る職員たち

シャンシャンは、やっぱりカリスマだな。
なんとなく、思っていることがわかってしまう気がする。
生まれた時からずっと見ているから。

また会おうね、シャンシャン!